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会社破産をした場合、従業員にはどのような手続が必要ですか?

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会社破産をした場合、従業員にはどのような手続が必要ですか?
執筆者 弁護士 山本 哲也

会社を破産すると従業員にはどの様な影響がありますか?

法人破産トラブル

会社を破産すると、会社(法人格)自体がなくなります。そのため、会社は、破産申立前に従業員を解雇するケースが多いです。仮に、申立段階で従業員が残っていたとしても、破産手続の中で破産管財人により解雇されます。いずれにせよ、会社を破産すると従業員は職を失うことになるので、従業員にはとてつもなく大きな影響が出ます。

破産するに当たり、従業員へどの様に説明したらよいですか?

丁寧かつ正確な情報提供を心がけましょう。破産に至った経緯、破産するにあたり従業員を解雇せざるを得ないこと、解雇に伴う諸手続(雇用保険=失業保険の受給方法、健康保険の切り替え方法、未払賃金立替払制度など)の説明を行うことが一般的です。説明を受けた従業員は混乱するでしょうが、従業員の生活を守るためにも、落ち着いて情報提供できるよう事前に説明事項や資料を準備しておきましょう。

事案によっては、取引先・従業員・役員にも破産を申し立てることを公表せず、事業停止するXデーを定め、Xデーの翌日頃に破産申立てを行うこともあります(いわゆる“密行型”)。密行型の場合、Xデー当日の業務終了後に従業員全員を集めて破産することや解雇することを告げるケースが多く、当日は大きな混乱が予想されます。密行型であっても、丁寧な情報提供は同じく求められます。万全な事前準備が肝要です。

従業員の解雇・退職手続きはどうすればよいですか?

従業員の解雇・退職手続き

  1. 解雇を有効に行うための法律上の手続き
  2. 従業員の生活を守るための手続き
  3. 貸与物品

の返還の3つに分けて整理するとよいです。

①は、解雇30日前に解雇予告→30日間経過をもって解雇とするのが一般的です。解雇予告の際は、いつ・どの様な理由で解雇したのかを明確にするため、解雇理由を記載した解雇通知書を従業員へ交付します。密行型のように予告期間を置かずに解雇する場合は解雇予告手当の支払が必要です。

②は、主に社会保険や未払賃金立替払制度に関することです。解雇後、速やかにハローワークに対し雇用保険被保険者離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届を提出し、離職票の交付を受けそれを従業員へ交付します。これにより、従業員が雇用保険を受給できるようになります。合わせて、雇用保険適用事業所廃止届もハローワークへ提出しましょう。従業員は解雇により健康保険や厚生年金の資格を喪失しますから、解雇後、従業員から被扶養者分も含めて健康保険証を回収し、こちらも健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届と適用事業所全喪届を年金事務所へ提出します。その他、源泉徴収票の交付や住民税の特別徴収から普通徴収への異動届も行いましょう。

③は、会社が従業員へ貸与しているパソコン、携帯電話、ETCカード、鍵、経費精算用クレジットカード、警備カード等があれば返還してもらいましょう。

従業員の給与はどのように対応したらよいですか?

従業員の生活を守るためにも、給与等の労働債権は可能な限り支払う必要があります。とはいえ、破産申立費用を捻出した結果、従業員への給与や退職金等を満足に支払えるだけの資金が残っていないケースも多いです。この場合、解雇予告手当→給料→退職金の順で優先的に支払うのが妥当です。解雇予告手当は未払賃金立替払制度の対象外であり立替払いが受けられませんから、従業員保護のためにも、まずは解雇予告手当を準備するのが鉄則です。また、解雇予告手当を支払わなければ解雇できませんから、解雇を法律的に有効とする意味でも解雇予告手当の支払は必須です。もっとも、解雇予告手当は、解雇の30日以上前に解雇の予告をしておけば不要となります。

なお、未払賃金立替払制度を使用する場合、立替払いを受けられるのは未払賃金総額の8割が上限となります。満額の立替払いが受けられるわけではないことは従業員へ説明しておきましょう。

法人破産は一日でも早くご相談ください。

法人破産は、事業継続が困難となったら速やかに申し立てた方がスムーズに進められます。事業継続が困難であるにもかかわらず無理をして続けてしまうと、いざ破産しようとした場合に手元資金が足りず、破産申立費用や従業員への給与を工面できなくなってしまいます。弁護士への相談が遅くなると、破産することすらできなくなってしまうおそれがあるのです。

破産を行うことは心苦しいでしょうが、早めに決断した方が、周囲への迷惑を最小限に軽減できますし、経営者自身の人生のリスタートも早くきれます。弁護士へ相談すれば、破産へ向けたスケジュール立案や従業員への対応もサポートを受けられます。

当事務所ではこれまで数多くの経営者から破産のご相談を受け、円滑に破産手続を進行し経営者の人生のリスタートを支援してきました。たしかな経験とノウハウを持つ専門の弁護士がご相談をお受けしますので、まずはお気軽にお問合せください。